是川銀蔵

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是川銀蔵・・・相場師一代(14)山あり谷あり

参謀中佐の話に乗り3万円(書籍現在価値5億円)を出した銀蔵だったが、いよいよ青洲攻撃の日が来た。参謀中佐の言うように簡単に青洲攻略が出来れば、青洲の一厘銭商売の独占と出資金3万円が倍の6万円で帰ってくる約束だ。銀蔵にとっても勝負だった。なん...
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是川銀蔵・・・相場師一代(13)3万円の上手い寄付話

1915年に日本が中国に対して対華二十一ヶ条要求を突き付けて以来、袁世凱政権は排日運動を強行し中国各地で日本軍と中国軍の武力衝突が勃発していた。日本は袁世凱政権打倒のために孫文を支援していた。孫文は1911年の辛亥革命で臨時大統領に就任した...
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是川銀蔵・・・相場師一代(12)ピストル交渉

「あんたの御返事いかんによっては、ここであんたの命をもらうことになりますよ」銀蔵は一厘銭輸出禁止命令を出した税関長を、ピストルで脅しながらこう言ったのだ。税関長の顔から血の気が引き、ピストルを見た瞬間に椅子から立ち上がり後方に2,3歩後ずさ...
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是川銀蔵・・・相場師一代(11)一厘銭輸出禁止

最初は銀蔵だけがやっていた一厘銭商売だったが、あまりにもぼろい商売なのですぐに多くの人間が真似し始めた。中国の法律では貨幣の改鋳・売買・運搬は死刑という重罪だったが、日本字は治外法権に守られているから出来るこの一厘銭商売だったが、毎日のよう...
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是川銀蔵・・・相場師一代(10)再び中国へ

銀蔵は失意のうちに日本に帰国したが、一文無しで帰国した銀蔵に世間の目は冷ややかだった。「このままではいかん」。銀蔵は半年もしないまま、再び中国に行くことにしたのだ。青島にはついたものの、かつての軍隊の御用商人はもうできない。新しい商売を探し...
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是川銀蔵・・・相場師一代(9)逮捕された銀蔵

銀蔵は憲兵隊に逮捕された。憲兵隊は軍隊の中の警察のような組織だ。ブタ箱に放り込まれたという。軍から便宜を図ってもらうため、軍高官を買収したという贈収賄の疑いだった。実際、接待や小遣いを渡していたので本当の事だ。どうやら、同業者のやっかみで投...
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是川銀蔵・・・相場師一代(8)御用商人

日本軍はドイツ領青島攻略に成功する。ドイツ本国から遠い極東の地では、ドイツもどうすることも出来なかったのだろう。銀蔵は青島陥落と同時に軍隊と一緒に青島に入っている。民間人としては第一号の青島入りだった。 銀蔵は念願だった自分の会社を作る。「...
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是川銀蔵・・・相場師一代(7)兵隊を使って

銀蔵は中国人が相手にしてくれないので、一計を講じた。炊事場でやることもなくうろうろしている暇な兵隊たちがいた。銀蔵はこの兵隊たち3名にタバコを一箱ずつ配り「すまんけど、一緒に中国人の村に一緒にいってくれませんか」と頼んだ。 車に銃剣付きの兵...
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是川銀蔵・・・相場師一代(6)仕入れの商売

銀蔵は強制送還を逃れ主計の仕事をしていたが、半日で終わるので商売を始めようと思った。主計少尉にこう切り出した。「軍隊は、鶏・卵・野菜など毎日中国人から買い付けていますが、この一部を私にやらしてもらえませんでしょうか。私なら今より安く仕入れら...
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是川銀蔵・・・相場師一代(5)主計の仕事

銀蔵は12日後に強制送還になろうとしてしたが、村の中で1件だけ夜遅くまでランプの灯りがついている家があるのに気づく。近づいて覗いてみると、そこは主計室で少尉を中心に3,4人の兵隊が山ほど伝票を積み上げて、そろばんを弾いているのが見えた。しか...