是川銀蔵・・・相場師一代(8)御用商人

是川銀蔵

日本軍はドイツ領青島攻略に成功する。ドイツ本国から遠い極東の地では、ドイツもどうすることも出来なかったのだろう。銀蔵は青島陥落と同時に軍隊と一緒に青島に入っている。民間人としては第一号の青島入りだった。

銀蔵は念願だった自分の会社を作る。「小山洋行」がその名前だったが、小山は戸籍上の銀蔵の苗字だ(是川は大正7年に是川家に養子に入った時に変わっている)。小山洋行は、落花生や和ダンスの材料になる桐の木を日本に輸出する仕事も始めている。日本からは軍隊用に日用雑貨や食料を輸入した。

当時日本では桐の木が不足していたが、中国では自生の桐が野放しで生えて太い木になっていた。これをタダ同然で手に入れて日本に輸出していたのだ。勿論、大儲けだ。一文無しからここまであっという間の出来事だ。勿論、軍への物資供給も続けている。

青島占領と同時に、日本からは料理屋や芸者達が続々とやってきて、街は賑やかになった。御用商人の銀蔵は毎晩のように高級料亭に芸者を上げて将校連中を接待したし、小遣いの無心があれば黙って金を渡した。戦いから解放された軍隊は、緊張からの解放と勝利の興奮で遊興にふけるものだ。銀蔵はどっぷりと軍隊の御用商人に浸っていたのだ。

だがある日、寝ていた銀蔵の家にどかどかと軍人が上がりこんできた。憲兵隊だった。「小山銀蔵だな。贈収賄の疑いで逮捕する!」こうして銀蔵は捕まってしまう。銀蔵の運命や如何に。。。

続きはまた!   たなぶ

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