是川銀蔵・・・相場師一代(6)仕入れの商売

是川銀蔵

銀蔵は強制送還を逃れ主計の仕事をしていたが、半日で終わるので商売を始めようと思った。主計少尉にこう切り出した。「軍隊は、鶏・卵・野菜など毎日中国人から買い付けていますが、この一部を私にやらしてもらえませんでしょうか。私なら今より安く仕入れられます。」

主計少尉は「それほど自信があるならやってみろ」と許可を出したが、銀蔵には仕入れる金が無い。金を貸してほしいというと、少尉は「ばかもん!公金ではないか。」と怒ったものの、銀蔵は主計の仕事で信用がついていた。渋々ながら金を貸してくれた。便宜上は銀蔵が仕入れたものを「買って支払った」ということにしてくれた。

何せ、その伝票は銀蔵自身が処理するのだから問題はない。最初に三百円の金を借りて中国人の村に買い出しに行ったが、銀蔵はろくに中国語も話せない。それに16歳の子供が来てもろくに相手にもしてもらえなかった。これでは仕入れの仕事にならない。銀蔵はこのままではいけないと、知恵を絞った。そして、一計を思いつくのだった。

それは、また次回!  たなぶ

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