本間宗久・・・第9章「不作年掛引のこと四法」③

本間宗久

「さて、霜月限新商、古米並びに其の年の作の見聞釣合を以って、五、六十俵より百俵安に商出初めてより、大概、四五十俵下げ稀なり。其の年の作の見当を以て商出る故、累年十俵より二三十俵位の下げにて、其の年の変により上に向くなり。上方当地、不作天災等にて、六月出初めより急上げになることもあり、いずれ其の年々、不作の浅深、天災古来の多少、九州国々の様子にて大阪高下出次第、当地に高下出ずる故、油断するべからず。誠に変化極まりなし。」

相場はだいたい古米だとかその年の位ねの作柄と比べて、5~60俵から100俵下ザヤで商いが始まるのが常です。その後、その水準から4~50俵下げる事は稀です。その年の作柄を見て商いをするため、毎年10~30俵位下げで上向きに転ずるものです。大阪地区や庄内地区が天災などで不作の時は、20~30俵の下げもなく6月の初商いから急ピッチであがることもあります。いずれにしても、その年の不作の程度、天災、古米の多い少ないを把握する事。更には九州地方の作柄次第で大阪の相場に影響して、それが庄内地方にも影響を及ぼします。このように相場とは、決して油断の出来ないものですし、実に変化極まりないものなのです。

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