是川銀蔵・・・相場師一代(9)逮捕された銀蔵

是川銀蔵

銀蔵は憲兵隊に逮捕された。憲兵隊は軍隊の中の警察のような組織だ。ブタ箱に放り込まれたという。軍から便宜を図ってもらうため、軍高官を買収したという贈収賄の疑いだった。実際、接待や小遣いを渡していたので本当の事だ。どうやら、同業者のやっかみで投稿があったらしい。

銀蔵は憲兵隊に嘘を言ってもしょうがないので、包み隠さずすべて本当の事を話した。すると困ったのは憲兵隊の方だった。憲兵隊の思いもよらぬ軍の高官の名前がずらずらと出てきたからだ。また、銀蔵の身元を日本に確認すると未成年であることもわかった。憲兵隊の取り調べ担当は、こんな大規模な買収を未成年の銀蔵が行っていたことに、驚き、飽きれ、そして困った。

軍の高官たちをみんな捕まえるわけにはいかなかったからだ。最終的に銀蔵は証拠不十分で釈放となる。だが、釈放されるときに取り調べ責任者の中尉からこうさとされた。「小山、お前の事を調べたら、実にこれまで努力してやって来たかわかる。せっかくの才能があるんだ、お前の頭を正道に使え。決して邪道を歩むな。お前ほどの才能があって努力すれば必ず出世するはずだ。以後、邪道によって金儲けしようとか、出世しようということは考えるな。正道を歩め。」

銀蔵はこの時、涙が止まらなくなるほどの良心の呵責を受けたと書いている。そして邪道の商売はするまいと誓ったのだ。そして店を番頭にゆずり、日本に帰ることとした。

日本に帰った銀蔵は、周囲の冷たい視線に悩まされたという。その後の銀蔵は、また次回!

たなぶ

コメント

タイトルとURLをコピーしました