是川銀蔵・・・相場師一代(13)3万円の上手い寄付話

是川銀蔵

1915年に日本が中国に対して対華二十一ヶ条要求を突き付けて以来、袁世凱政権は排日運動を強行し中国各地で日本軍と中国軍の武力衝突が勃発していた。日本は袁世凱政権打倒のために孫文を支援していた。孫文は1911年の辛亥革命で臨時大統領に就任したが、その後袁世凱によって失脚させられていた。孫文の革命軍と日本軍は協力関係にあった。

そんな中、青島守備軍参謀の中佐が銀蔵のところにやってきた。「金を出してほしい」という。中佐の話によると孫文の連れてきた満州人300人に青島守備隊が軍事訓練を施して、革命軍の兵士として配備するというのだ。だが、軍には金が無い。そこで一理銭商売で大儲けしていた銀蔵のところにきたというわけだ。

「なんぼ必要なんですか」と銀蔵が聞くと、「三万円あれば大丈夫だ」と中佐はさらっといったが、三万円は現在の5~6億円の大金だ。銀蔵もただで貸すわけにはいかない。「三万円を出してもいいですが、見返りはなんでしょうか」そう聞くと中佐は周囲を見まわして声を潜めてこういった。「近々、青洲の政府部隊に攻め込む。政府軍といっても中国は雇い兵だから弱い。少し鉄砲を打ち込んだらすぐに逃げていく。勝ちは間違いない。占領地の一理銭商売をお前に独占させてやる。また占領後の挑発でお前の出資金は倍にして返す」。

うまい話である。金は倍になるし、青洲の一理銭商売は独占できる。青洲は昔からの都で金持ちの家が集まっていた。当時の金持ちは政情不安から金を銀行には預けず、自宅の地下に土蔵を掘り、そこに一理銭を山のように積んでいるという話は、銀蔵も知っていた。

「よし、出しましょう!」銀蔵は大金をこの参謀中佐に渡すことにしたのだ。だが、話はそううまくはいかなかった。。。

いよいよ始まる青洲攻撃。3万円はどうなる?次回、「是川銀蔵・・・相場師一代(14)攻略失敗」乞うご期待!

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