是川銀蔵・・・相場師一代(4)強制送還の危機

是川銀蔵

銀蔵が日章旗の旗の立つ村の入口で倒れた後、誰かに呼び起される声がして目を覚ますとどこかの家の中で2,3人の兵隊に囲まれていた。(助かった・・・)と安心してそのまま気を失ったという。2度目に目が覚めた時は、医務室のベットの上だった。銀蔵の持ち物から日本人らしいと、医務室まで運んでくれたのだ。

回復すると銀蔵の身柄はすぐに憲兵隊に引き渡された。当然厳しい取り調べが始まる。「お前のような奴が大陸で放浪して、匪賊の仲間入りするんだ」と叱られた。食べられずに盗賊の仲間入りする人間もいたらしい。厳しい取り調べが一巡すると、「次の日本からの軍用船が入ってきたら内地に送り帰すから、それまで炊事場で働け!」と言われる。

炊事場と言っても銀蔵が料理をするわけでもなく、水汲みの仕事をするのだ。村の近くを流れる川から石油缶2つに入れ、1キロ余りの距離を何度も往復して運ぶのだ。なんとか3度の食事にありつけるようになり、体力も回復してきた銀蔵。しかし、強制送還の日は、刻一刻と近づきて来る。

死ぬ思いで山東半島を横断してきたのは軍の御用商人になるためで、ここで強制送還されたら今までの苦労が水の泡だ。銀蔵はなんとか軍に残る方法は無いか考えるが、次の日本船が来るのが12日後との知らせが来る。

万事休すかと思った時、夜になると村の明かりは全て消えるのだが、一軒だけ遅くまでランプの灯りがついているのに気づく。恐る恐る近づく銀蔵だったが、そこは。。。

それでは、また次回!   たなぶ

コメント

タイトルとURLをコピーしました