山崎種二・・・鞘取り②

山崎種二は東京で回米問屋で丁稚をしていた時から、相場で「サヤトリ」をしていたと自叙伝「そろばん」に書かれていたことは紹介した。


だが、どうやって?種銭は持っていたと書かれているが、後は当時山種は倉庫の管理の仕事をしており、コメの状態を見るため米俵からコメを抜く作業をしている。この作業でコメが床一面に落ちていると書かれている。かすめたコメの現物も持っていたのかもしれない。期近買いの期先売りもあるが、話を分かりやすくするため。限月の鞘取りを説明する。


分かりやすくするため。コメの現物と期先の鞘取りとする。
現物が1枚100円の価格で例えば6月限月が110円、9月が130円で3月に始めたとしよう。

現物     6月    9月
100円    110円   130円


この状態で9月に売りを100円分行う。現物は買いポジションなので

1-1 となる。買い1枚、売り1枚だ。

時間が経つにつれ鞘がはがれ、価格が変わらないとして3か月後の6月になった時には、9月限月は110円になっている。つまり20円鞘が剥がれたことになる。現物は100円のままで売った130円が110円になったので20円の利益が出ている事になる。


では価格が20円下がった場合はどうだろうか。現物は100円から80円になり20円の損。しかし9月限月は130円から鞘のはがれ20円と相場の下げ20円で40円の利益になっている。差し引き20円の利益だ。


くどいが価格が上がった場合はどうだろうか。20円上がると現物は100円から120円になり、20円の利益。売った9月限月は鞘剥がれの20円分下がったのと相場の値上がり20円で差し引きゼロなので130円のまま。つまり20円の利益だ。


このように鞘取りは、一旦組めば上がろうが下がろうが利益になる。取るのが上げ下げではなく、鞘だからだ。山種は「どうしてみんながやらないのか不思議だった」と述べている。


今現在と相場環境が違うので、同じようには出来ないが。こういうことが出来るのが先物の限月を利用した鞘取りである。


次回は山種の「株式への保険ツナギ」いついて書きたい。



                                  たなぶ

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