是川銀蔵・・・相場師一代(25)先生、事務所が出来ました

是川銀蔵

銀蔵の株式投資家としての快進撃は続いていた。すると大阪の北浜に百発百中の投資家がいるとの噂が広がり始めた。その噂は東京の兜町にも広がっていった。投資の教えを乞う人や会社の顧問になってくれとの人間が、銀蔵の自宅兼事務所に毎日列をなしてあらわれたのだ。そんな訪問者の中に「先生、事務所が出来ましたので見てください」というものが現れた。まったく頼んだ覚えもなく、どうやら勝手に事務所を借りてしまったというのだ。職員のいるらしく銀蔵も面食らった。「君らは誰から給料を貰うつもりかね」との銀蔵の問いに「先生からは頂きません。先生の傍にいて相場を教えていただけるだけで結構です。」というのだ。

要するに銀蔵の傍にいて、銀蔵の投資情報を聞き提灯をつけたいとの話だ。証券会社などの職員など、玄人筋の人間が集まり会をつくり事務所の経費を割り勘して、事務所を運営していくらしい。「ですので先生は来ていただくだけで大丈夫です」と明るく言う男に閉口しつつ、銀蔵は事務所にはいくことにした。銀蔵の相場に乗るので、当然大儲け出来たらしく「先生食事に行きましょう!」と今度は銀蔵への接待が始まる。儲かった金で芸者のいる店でのどんちゃん騒ぎが始まるのだが、銀蔵は内心「話の合わない連中だ」と思っており。食事だけして帰ることにしていた。「昭和経済研究所」の看板を掲げ、銀蔵は相場の指導をしていたが、銀蔵はだんだんと嫌気が指してきた。銀蔵は女道楽と酒はやらないと心に決めていたし、人の情報に乗ろうとする会員にも嫌気が指してきていた。銀蔵は本格的に人を選んで相場指導を行うことを考え始めるのだった。

次回「是川銀蔵・相場師一代(26)・・・是川銀蔵研究所」乞うご期待!

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