陸軍の御用商人に俺はなる!と軍隊を追った銀蔵だったが、「なんでもいいから商売をさせてくれ!」と頼んでみても、軍隊が未成年に商売をさせてくれるはずもない。「ここは戦場だぞ。子供がうろつくところじゃない。内地に帰れ!」とまったく相手にしてもらえない。
途方に暮れているうちに軍隊は渤海湾側から軍隊が移動してしまう。一文無しの銀蔵は追いかけるしかない。その距離250km。龍口から青島まで十数日の道のりを、金もなく歩いていくのだ。
山東半島では当時は人を襲う犬が多くいて、弱ったり隙を見せれば襲われる。銀蔵の後ろを何十匹もの野良犬が、銀蔵が弱るのを今か今かと付いてくる。夜は木の上や洞穴を見つけて寝ていたそうだ。
食べ物は中国人の畑のものを盗んで食べていた。だが、清潔なものでも洗ってあるものでもないので、酷い下痢に見舞われ、さらに体力を奪っていく。もはや体力もつき、目もかすみ、夢か現実かある村の入口まで来た時、日の丸の旗が見えたような気がした瞬間、銀蔵は意識を失い倒れこんでしまった。
野犬の餌になるのか、それとも日の丸はほんもんだったのか。それはまた次回!
たなぶ
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