第三十一章 十人が十人片寄る時

本間宗久

「相場、二、三ヵ月も無高下又通いにておる時は」、十人が十人退屈し、強気の人も弱気に趣き、売り方の人は図に当たると心得、尚々売り込み、その後決して上がるものなり。その節さてこそと弱気強気其一つに成り、一度に騒ぎ立て買い返す故、俵飛ばし急上げになるなり。十人が十人片寄る時は決してその裏来るものなり。考えの通りに来るものなれば心易きものなれども、右様にはきたらず、考えは及ばざるなり。陰陽自然の道理なり。」

相場が2,3カ月上にも下にも動かず無気力に保合になった時は、十人が十人退屈して強気で買い建てのある人も弱気に転じて、弱気で売玉を持つ人は益々売玉を増やすが、こういう時は上がるものだ。十人が十人同じ考えになるとは逆に動くものだ。相場は思い通りになればいいがそうはならない。これが自然の道理というものだ。

たなぶ

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