私の調べている伝統的相場師である是川銀蔵や山崎種二、本間宗久などと現代の一般的な投資方法は何が違うのだろうか。比較しながら並べるとわかり安いので、書いてみたい。
【1】分散か集中か
現代は投資信託やETFでの分散投資が教科書的投資だろう。「1つの籠にすべての卵を入れない」というのはよく聞く話だと思う。そして現代では積み立てドルコスト平均法が理想とされている。
相場師たちは本間宗久なら米だけとか、山種も銀蔵も特定の銘柄に集中して勝負している。
【2】投資期間
現代では基本15年以上指数に投資すれば損しないので、働いている間は積み立てをして、定年後取り崩すというのが推奨されている。基本的に超の付く長期投資である。
しかし、相場師たちのポジションは本当によく動く。試し玉から本玉、ツナギなどしつつツナギと本玉の数を増減させつつ相場をしている。見ている波が「うねり」と言われる数日から数カ月の波なので、短めになる。
【3】分析
現在の投資家の数の大部分は一般書のサラーリーマンや自営業、主婦などの層だ。だから本業も忙しいし、そんなに分析は出来ない。ファンダメンタルズや個別銘柄分析、テクニカル分析など、忙しくてやっている人は少ない。結局長期投資は「この無知への保険」とも言える。
相場師はとにかく分析ばかりしている。それが商売なので絶対に負けられないという真剣さもあるが、まず分析力がなければ相場師は出来ないと言ってもいい。是川銀蔵の記事も書いているが、経済研究所まで作って研究しているのだから、分析が好きな人間でなければ相場師なんて出来ないのだろう。
こう書いてみると、一般の人は本業があるのだから買って何も考えず持ち続けるのが正解なのだと思う。相場師の相場は本当にめんどくさく手間が掛かる。だから、簡単には参入出来ないと思うが、別に長期積み立てが間違っているとは思わない。実際数字的は20年後利益になっているはずだ。しかし、日本人は優秀なので、現在のような下げ相場になると長期投資家が急に短期投資家になる。今は売って上げ始めたらまた買おうなんて考えたり、こんなに損するなら投資なんてしない!ギャンブルだ!なんて言って止めてしまう。
何も考えなくていい長期投資をしているのに、毎日損益を見たり、含み損を嘆いたりする必要はまったくないのだが、人間は感情の生き物なのでそうはいかない。投資信託の平均保有期間が3年というのも、その人間の人間らしいところだと思う。結局は何も考えずに持ち続けるということは、なかなか出来ないという事なのだろう。横綱と幼稚園児が同じ土俵で戦う相撲が「相場」なのだから。結局は考えぬいて相場をする以外、勝ち残る方法は無いと思うが如何だろうか。
たなぶ
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