本間宗久・・・第21章 保合い下つ放れ

本間宗久

「右保合の時、少々げ下目に成る時、かねて売方の人は図に当ると心得、尚々売り込み、買い方の人もここぞと売り逃げ、かえって売過ぎ致す心になり、我先き我先きと売込み候故、尚々下がるなり。この時買うべし。極めて利運なり。はなはだ買悪しきものなれども、買うべきなり。数年のものも、後悔多し。通いの商いは十俵高下を的し手早く見切ること第一なり。」

天井をうって後に保合いから上に放れたときは二番天井の形になるから、そこは断じて売り場であると説きましたが、この章では逆に保合いが下げに転じた場合の極意です。かねてから売り建てている人達は、やったぞ思った通りの下げだ早く売ろうとばかりに売利乗せてきます。買い方は「それ崩れた」とばかり買玉を手仕舞い、「逆にドデン売り越しに」といった心境に至り我先にと売ってきます。こうなると相場は売るから下がる、下がるから売るとますます下がります。しかし、ここが本当の買い場である。ここを買えばきっと儲かる。買いにく時こそ勇気を持って買うべきです。保合い下放れの時は利食い買い場である。ただし、保合い相場のときは大きな高下はないので上下十俵を目途に手早く利食い、見切る事が第一だ。

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