本間宗久・・・第32章 売り方 掛引きむずかしき

本間宗久

「一ヵ年の間、上げ一度、下げ一度の他は大高下なしとす。上げの間にも少々の下げ、下げの間にも少々の上げあり。これは通り相場にて天井底を見る相場にあらず。すべて踏出しは大切成り。買出し候は思やみなるものなれども利運の向く時、少しも苦しみなきものなり。売り方は心易きものなれどもはなはだ掛引きむずかしきものなり。下げかかる時は、何程下がるかも知れぬ様になり、買返しおくものなり。下げの調子、人騒ぎに乗らず、欲を離れ買返すこと第一成り。」


1年の内に大きな上げが1度、大きな下げが1度あるが、この他は流れとしてみれば小動きに過ぎない。大きな上げ波動の中では小さな押し目があるし、下げ相場では小さな戻りもある。この動きに惑わされて失敗するケースが多い。押し目でもはや上げ相場もこれまでかと売りに回ったり、下げの戻しで強気の買いに転じたりして、結局うまくいきません。目先の動きに一喜一憂せず、じっくり相場の流れを捉える事が大切です。相場というのは踏出しが大切です。特に甲斐からスタートするときは色々思い悩んだり気苦労が多いものです。踏出しよく大きな流れに乗れば利運が向き苦しみは無い。しかし売り方は日歩が入ってくるし割合気苦労は無いが、はなはだ掛引きは難しく、下げに入るとどくまで下げるか分からないような人気に成り、売安心状態になります。相場は皮肉なもので、こんな状態になった時、逆に反発するもので結局は買い戻しが遅れてしまう。下げ相場に乗るコツは、人の騒ぎに乗じず欲をはなれて買い戻す事が第一だ。


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