銀蔵は若い時から国際経済の変化を掴むのが得意だったという。人の意見を聞いても、相手の言うことが本当かどうか自分で分析して確信が持てるところまで突き止めないと気が済まなかったそうだ。昭和8年に是川銀蔵経済研究所を開設したのも、国際経済を観察分析しなくては、命の次に大切なお金を相場に投ずる事ができないからだった。銀蔵は90歳を過ぎても世界の株価や金、銀、銅などの非鉄相場と在庫、人・出庫状態などの記録を取り続けたのだというから驚きだ。「訓練すれば、人間はこれだけの能力を持ち続ける事が出来る」そして「やると決めたらどんな困難があってもやり通し、やってはいけないことはどんな誘惑があってもやらない。このくらいの強い意志がなければ、自分の金を掛けて相場を張ることはできないと思った方がいい」と言い切る。耳がいた投資家も多いのではないだろうか。
そして情報の真偽についても著書で書いている。情報には「うそっぱち」もあり、これを見分けるのがプロだ。証券が社でも独自の調査機関を持っているところがあるが、社員はこれを信じて疑わない。これを顧客にいうのだから、客は嘘情報で買わせられることも多いのだという。銀蔵は自分で経済の分析をしているからこそ、この嘘を見破れ、正しい判断で投資が出来るというのだ。現在でもニュースに振り回される投資家は多い。ウクライナ侵攻を正しく判断した投資家は、いったいどれくらいいるだろうか。自分のいい加減な値ごろ感で投資したり、真偽のわからないネットニュースで投資したりする投資家も多い。90歳を過ぎてまで経済分析をしている銀蔵を私も見習いたい。
満州事変を批判したとして憲兵隊に拘束される銀蔵。だが、銀蔵の国際分析は憲兵谷も広がり、最後は国際情勢を講義することになる。次回「是川銀蔵・相場師一代(29)・・・憲兵隊に国際情勢を講義」乞うご期待!
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